○野辺地町職員の懲戒処分に関する指針
平成十五年九月十二日
規則第二十二号
職員は、全体の奉仕者として公共の利益のために勤務すべき義務を負い、その職務の遂行に当たっては全力をあげてこれに専念しなければならない。全体の奉仕者であるが故に労働基本権の制限・政治的行為の制限など種々の制約を受け、厳正な服務を要求されている。
一方、職員が安んじて職務に専念できるよう地方公務員法では、一定の義務違反等に該当しない限り、不利益な処分を受けることはないという強い身分保障もなされている。
公務に対する信頼の確保、職場の秩序維持等は職員の服務の根本である。職員は、自らの行為が常に公務の信用に影響を及ぼすことを深く認識し、自らを厳しく律するとともに、公務員としての自覚を持ち、町行政の健全な発展に努めなければならない。
第一 基本事項
本指針は、代表的な事例を選び、それぞれにおける標準的な懲戒処分の種類を掲げたものである。
具体的な処分定量の決定に当たっては、
(1) 非違行為の動機、様態及び結果はどのようなものであったか
(2) 故意又は過失の度合いはどの程度であったか
(3) 非違行為を行った職員の職責はどのようなものであったか、その職責は非違行為との関係でどのように評価すべきか
(4) 他の職員及び社会に与える影響はどのようなものであるか
(5) 過去に非違行為を行っているか
等のほか、適宜、日頃の勤務態度や非違行為後の対応等も含め総合的に考慮の上判断するものとする。
個別の事案の内容によっては、標準例に掲げる処分の種類以外とすることもあり得るところである。例えば、標準例に掲げる処分の種類より重いものとすることが考えられる場合として、
(1) 非違行為の動機若しくは態様が極めて悪質であるとき又は非違行為の結果が極めて重大であるとき
(2) 非違行為を行った職員が管理又は監督の地位にあるなどその職責が特に高いとき
(3) 非違行為の公務内外に及ぼす影響が特に大きいとき
(4) 過去に類似の非違行為を行ったことを理由として懲戒処分を受けたことがあるとき
(5) 処分の対象となり得る複数の異なる非違行為を行っていたとき
がある。また、例えば、標準例に掲げる処分の種類より軽いものとすることが考えられる場合として、
(1) 職員が自ら非違行為が発覚する前に自主的に申し出たとき
(2) 非違行為を行うに至った経緯その他の情状に特に酌量すべきものがあると認められるとき
がある。
なお、標準例に掲げられていない非違行為についても、懲戒処分の対象となり得るものであり、これらについては標準例に掲げる取扱いを参考としつつ判断する。
(平20規則7・全改)
第二 標準例
1 一般服務
(1) 欠勤
ア 正当な理由なく十日以内の間、勤務を欠いた職員は、減給又は戒告とする。
イ 正当な理由なく十一日以上二十日以内の間、勤務を欠いた職員は停職又は減給とする。
ウ 正当な理由なく二十一日以上の間、勤務を欠いた職員は、免職又は停職とする。
(2) 遅刻・早退
勤務時間の始め又は終わりに繰り返し勤務を欠いた職員は、戒告とする。
(3) 休暇の虚偽の申請
病気休暇又は特別休暇について虚偽の申請をした職員は、減給又は戒告とする。
(4) 勤務態度不良
勤務時間中に職場を離脱して職務を怠り、公務の運営に支障を生じさせた職員は、減給又は戒告とする。
(5) 職務怠慢
正当な理由なく職務を怠り、公務の運営に支障を生じさせた職員は、減給又は戒告とする。
(6) 職場内秩序を乱す行為
ア 他の職員に対する暴行により職場の秩序を乱した職員は、停職又は減給とする。
イ 他の職員に対する暴言により職場の秩序を乱した職員は、減給又は戒告とする。
(7) 虚偽の報告
事実をねつ造して虚偽の報告を行った職員は、減給又は戒告とする。
(8) 違法な職員団体活動
ア 地方公務員法第三十七条第一項前段の規定に違反して、同盟罷業、怠業その他の争議行為をなし、又は町の活動能率を低下させる怠業的行為をした職員は、減給又は戒告とする。
イ 地方公務員法第三十七条第一項後段の規定に違反して、同項前段に規定する違法な行為を企て、又はその遂行を共謀し、そそのかし、若しくはあおった職員は、免職又は停職とする。
(9) 秘密漏えい
ア 職務上知ることのできた秘密を故意に漏らし、公務の運営に重大な支障を生じさせた職員は、免職又は停職とする。この場合において、自己の不正な利益を図る目的で秘密を漏らした職員は、免職とする。
イ 具体的に命令され、又は注意喚起された情報セキュリティ対策を怠ったことにより、職務上の秘密が漏えいし、公務の運営に重大な支障を生じさせた職員は、停職、減給又は戒告とする。
(10) 政治的目的を有する文書等の配布
政治的目的を有する文書等を配布した職員は、戒告とする。
(11) 兼業の承認等を得る手続のけ怠
営利企業の役員等の職を兼ね、若しくは自ら営利企業を営むことの承認を得る手続又は報酬を得て、営利企業以外の事業の団体の役員等を兼ね、その他事業若しくは事務に従事することの許可を得る手続を怠り、これらの兼業を行った職員は、減給又は戒告とする。
(12) 入札談合等に関与する行為
町が入札等により行う契約の締結に関し、その職務に反し、事業者その他の者に談合を唆すこと、事業者その他の者に予定価格等の入札等に関する秘密を教示すること又はその他の方法により、当該入札等の公正を害すべき行為を行った職員は、免職又は停職とする。
(13) 個人の秘密情報の目的外収集
その職権を濫用して、専らその職務の用以外の用に供する目的で個人の秘密に属する事項が記録された文書等を収集した職員は、減給又は戒告とする。
(14) 公文書の不適正な取扱い
ア 公文書を偽造し、若しくは変造し、若しくは虚偽の公文書を作成し、又は公文書を毀棄した職員は免職又は停職とする。
イ 決裁文書を改ざんした職員は、免職又は停職とする。
ウ 公文書を改ざんし、紛失し、又は誤って廃棄し、その他不適正に取り扱ったことにより、公務の運営に重大な支障を生じさせた職員は、停職、減給又は戒告とする。
(15) セクシュアル・ハラスメント(他の者を不快にさせる職場における性的な言動及び他の職員を不快にさせる職場外における性的な言動)
ア 暴行若しくは脅迫を用いてわいせつな行為をし、又は職場における上司、部下等の関係に基づく影響力を用いることにより、強いて性的関係を結び若しくはわいせつな行為をした職員は、免職又は停職とする。
イ 相手の意に反することを認識のうえで、わいせつな言辞、性的な内容の電話、性的な内容の手紙・電子メールの送付、身体的接触、つきまとい等の性的な言動(以下「わいせつな言辞等の性的な言動」という。)を繰り返した職員は、停職又は減給とする。この場合においてわいせつな言辞等の性的な言動を執拗に繰り返したことにより相手が強度の心的ストレスの重積による精神疾患に罹患したときは、当該職員は免職又は停職とする。
ウ 相手の意に反することを認識のうえで、わいせつな言辞等の性的な言動を行った職員は、減給又は戒告とする。
(16) パワー・ハラスメント(職務に関する優越的な関係を背景として行われる、業務上必要かつ相当な範囲を超える言動であって、職員に精神的若しくは身体的な苦痛を与え、職員の人格若しくは尊厳を害し、又は職員の勤務環境を害することとなるようなものをいう。)
ア パワー・ハラスメントを行ったことにより、相手に著しい精神的又は身体的な苦痛を与えた職員は、停職、減給又は戒告とする。
イ パワー・ハラスメントを行ったことについて指導、注意等を受けたにもかかわらず、パラー・ハラスメントを繰り返した職員は、停職又は減給とする。
ウ パワー・ハラスメントを行ったことにより、相手を強度の心的ストレスの重責による精神疾患に罹患させた職員は、免職、停職又は減給とする。
2 公金官物取扱い関係
(1) 横領
公金又は官物を横領した職員は、免職とする。
(2) 窃取
公金又は官物を窃取した職員は、免職とする。
(3) 詐取
人を欺いて公金又は官物を交付させた職員は、免職とする。
(4) 紛失
公金又は官物を紛失した職員は、戒告とする。
(5) 盗難
重大な過失により公金又は官物の盗難に遭った職員は、戒告とする。
(6) 官物損壊
故意により職場において官物を損壊した職員は、減給又は戒告とする。
(7) 失火
過失により職場において官物の出火を引き起こした職員は、戒告とする。
(8) 諸給与の違法支払・不適正受給
故意に法令等に違反して諸給与を不正に支給した職員、及び故意に届出を怠り、又は虚偽の届出をするなどして諸給与を不正に受給した職員は、減給又は戒告とする。
(9) 公金官物処理不適正
自己保管中の公金の流用等公金又は官物の不適正な処理をした職員は減給又は戒告とする。
(10) コンピュータの不適正使用
職場のコンピュータをその職務に関連しない不適正な目的で使用し、公務の運用に支障を生じさせた職員は、減給又は戒告とする。
3 公務外非行関係
(1) 放火
放火をした職員は、免職とする。
(2) 殺人
人を殺した職員は、免職とする。
(3) 傷害
人の身体を傷害した職員は、停職又は減給とする。
(4) 暴行・けんか
暴行を加え、又はけんかをした職員が人を傷害するに至らなかったときは、減給又は戒告とする。
(5) 器物損壊
故意に他人の物を損壊した職員は、減給又は戒告とする。
(6) 横領
ア 自己の占有する他人の物(公金及び官物を除く。)を横領した職員は、免職又は停職とする。
イ 遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した職員は、減給又は戒告とする。
(7) 窃盗・強盗
ア 他人の財物を窃取した職員は、免職又は停職とする。
イ 暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した職員は、免職とする。
(8) 詐欺・恐喝
人を欺いて財物を交付させ、又は人を恐喝して財物を交付させた職員は、免職又は停職とする。
(9) 賭博
ア 賭博をした職員は、減給又は戒告とする。
イ 常習として賭博をした職員は、停職とする。
(10) 麻薬等の所持等
麻薬、大麻、あへん、覚醒剤、危険ドラッグ等の所持、使用、譲渡等をした職員は、免職とする。
(11) 酩酊による粗野な言動等
酩酊して、公共の場所や乗物において、公衆に迷惑をかけるような著しく粗野又は乱暴な言動をした職員は、減給又は戒告とする。
(12) 淫行
十八歳未満の者に対して、金品その他財産上の利益を対償として供与し、又は提供することを約束して淫行をした職員は、免職又は停職とする。
(13) 痴漢行為
公共の乗物等において痴漢行為をした職員は、停職又は減給とする。
(14) 盗撮行為
公共の場所若しくは乗物において他人の通常衣服で隠されている下着若しくは身体の盗撮行為をし、又は通常衣服の全部若しくは一部を着けない状態となる場所における他人の姿態の盗撮行為をした職員は、停職又は減給とする。
4 飲酒運転・交通事故・交通法規違反関係
規則で別に定める。
5 監督責任関係
(1) 指導監督責任
部下職員が懲戒処分を受ける等した場合で、管理監督者としての指導監督に適性を欠いていた職員は、減給又は戒告とする。
(2) 非行の隠ぺい・黙認
部下職員の非違行為を知っていたにもかかわらず、その事実を隠ぺいし、又は黙認した職員は、停職又は減給とする。
(平20規則7・平29規則2・令2規則15・一部改正)
第三 懲戒処分
懲戒処分に処されることとなる事例が発生した場合、基本事項に列挙されるように、種々の対応が要求される。
懲戒処分は公正に取扱いされるべきであるので、任命権者は懲戒処分を行う場合は、野辺地町職員分限懲戒処分等審査委員会の意見を聴かなければならない。
(平20規則7・一部改正)
附則
この規則は、平成十五年十月一日から施行する。
附則(平成二〇年五月一九日規則第七号)
この規則は、平成二十年六月一日から施行する。
附則(平成二九年三月三一日規則第二号)
この規則は、公布の日から施行する。
附則(令和二年一二月八日規則第一五号)
この規則は、令和三年四月一日から施行する。